ハル君はいつも眉間に皺をよせているけど、ご飯を食べるときは朗らかな顔つきをする。
無言で食べていたけれど、本当はあんなに気に入ってくれてたなんて、恥ずかしいくらい嬉しい。


「阿東、米粒……」

ハル君の手が伸びる。
頬に触れたハル君の指は、暖かい。


「……あ」

俺の頬に付いた玄米を食べてしまった……


「え……」

ハル君も我に返ったように俺と顔を見合わせた。


「お前がボサッと米粒引っ付けてるから食っちまっただろうが!」

ハル君に怒られてしまった。


「ごめん!でも、ご飯、美味しいでしょ。足りないなら次はもっと多めによそうね。」


「……ああ……米の甘みと卵焼きとのバランスが取れてる。」

お昼にした、二人の会話はこれだけだった。
緊張して食べた気がしないお昼ご飯だ。