「阿東君……ご飯持ってきたよ。」

クラスメイトが俺に注目した。
わざわざ弁当を届けに来たらしい。





(なんだ、あれ、中学生か……?!)

(あの、阿東に弁当?!)

周りがざわめき始めた。


「……持ってきたのか。」


「うん、ご飯食べちゃったかな?」

照れ臭そうに阿東が上目遣いで俺を見つめた。
可愛く見えてしまうのは気のせいだ、気のせい……。


「いや、貰う。」


「うわあ、いいの?!」

顔が晴れやかになった。可愛……気のせい気のせい気のせい気のせいだ……!


「それじゃあ……」

寂しげな阿東の後ろ姿だ。


「待てよ!」

勝手に口が動いた。