「ほら、これやるから……」

飴を渡した。
子供は飴が好きなはず……多分。


「かもがわくん……、俺、一応年上なんだけど。」

口の中で飴を転がす阿東には説得力が欠けている。


「でも、鴨川君とこうして話せて良かった。笑うと尚更かっこいいね。」

……阿東は変な奴だ。
この俺が笑っているように見えるだなんて。


「お前……友達いないだろ。」

俺の今の言葉に傷付いたらしく、肩を落とした。


「……否定はできない」

また、目が潤んできている、子供は苦手だ。
泣かれるとどうしたらいいのか……。



「俺がなってやろうか。」

阿東は弾かれたように俺に向き直る。


「えっ……、いいの!」

こいつは、笑うと可愛いんだと気付いた。