先生から教科書を借りて音読する、読みながら、悔しさが滲んだ。

もう、三行で読み終わろうという頃だった。


「教科書……」

鴨川 ハルが息を切らしながら入って来た。
彼は俺より一学年下で、階数も違う。


「クラス間違えてるぞ……」

鴨川 ハルは有名な不良で、先生も躊躇って注意している。
当然、クラス中は凍り付いた。
そんな空気も気にせずに鴨川 ハルは侵入してゆく。


「……教科書返せ。」

そう言いながら、俺の教科書を奪った奴の机の前に、鴨川 ハルは立ち塞がった。