今日も俺は昼休みに奴らのパシリとして奔走している。
こんなこと、やりたくない。
でも、強く言えない。




いつも、決心が鈍るのは自分の弱さが原因だ。
喉の奥が締め付けられて上手く話せなくなる。

自然と慣れてゆく五人分のペットボトルの持ち方にうんざりする。


「そこ、邪魔だ。」

真上から、降ってきた声に振り向くと、一学年下の鴨川 ハルが真後ろに立ち塞がっていた。
彼は入学していた頃から噂になっていた生粋の不良、明るい髪色に頭一つ分飛び抜けた恵まれた体、鋭い眼光、誰しも彼を怖れた。

そして、自分もその一人だ。

直ちに道を空け、一心不乱にクラスに戻った。


「おい、これ凹んでるぞ。罰金。

奴らは当たり前のように財布からお金を抜き取ってゆく。

鴨川くらい堂々としていたらこんな、いじめっ子ポジションから脱却できるのだろうか。