シルクが灰炎を発ってから2日。

山岳地帯にたどり着いたシルク。

「凄い高さだな。空気もだいぶ薄いみたいだ。」

何十と連なった山の中の1つの頂でシルクは辺りを見渡した。

雲が下に見える。

植物はなく砂礫が辺りを埋め尽くしている。

「……ん?」

すると前方の砂の中で何かが動いた。

シルクはそれに近づいていく。

手の届く距離まできた時だった。

その部分が盛り上がり何かが飛び出した。

「うきゅう。」

短い手足に太く丸まったしっぽ。

「あれはサンド・ラット!?砂の中で暮らす希少なネズミじゃないか。」

「うきゅ?」

サンド・ラットは不思議そうにシルクを見上げている。

「…………かっ、可愛い。」

身体を丸めて後ろ足で器用に頬を掻く。

その仕草の愛くるしいこと。

すると遠くからエンジン音の様な不快な音が近づいてきた。

「うきゅーっ。」

サンド・ラットは身をブルブルと震わせながら逃げるようにして砂の中に潜った。

「……?どうしたんだいったい。」