しばらく湖畔で立ち尽くしていたシルクではあったが、再び歩きだす。

「ブリスベンの安否は……?それにマリアさんは巻き込まれずに離れられたんだろうか?」

熱帯植物を掻き分けながらシルクは、そんなことを悶々と考え続けるのだった。

「指名手配犯の生死は問わない。……か。」

炎王からの手紙を思い返し、シルクはため息をつく。

「僕は……僕はやっぱり殺したくない。」

小さな呟きにシルクの思いが全て詰まっていた。

犯罪は許せないし、許されるべきではない。

だからといって、犯罪者を殺す権利など誰にも無いのだ。と。



灰炎から次の町までの中間地点をどうにか、日の昇っている間に通過したシルクであったが。


そんなシルクの甘さが、彼を窮地にたたせることになるのだった。