ソフィアの目は血走り、全身から血管が浮き出ている。
怒りに身を任せ生存本能で統制された身体のリミッターを全て排除してしまった様だった。
「俺様が、俺様が負けるわけがねぇ!!」
リミッターを外したソフィアの力は普段3%しか使っていなかった細胞全てをフル稼働させていた。
その馬力は百倍近く、そして速度は生物界のチョウテンニ立ち、魔力も底無しのにっていた。
「世界よ終われ『冥負の風』」
「ごめんよ、皆を巻き込むわけにはいかないんだ『光縛』」
ソフィアの闇を完全に封殺するシルク。
行き場のない怒りだけがソフィアの中に残ってしまった。
それはすぐに宿主を蝕んでいく。
「ぬぅぅぅうっ!うぉぉあああっ!!!」
絶叫するソフィア。
みるみるその顔からは血の気が引いていく。
『――!シルク!!』
ミカエルが何かに気づいていシルクの名を叫んだ。
そこでようやくルシファーがソフィアの背後に近付いていたことに気付く。
「やめろルシファー!!」
ルシファーは叫び声の中で笑っていた。
ソフィアの胸を何かが貫く。
ソフィアの障気が鮮血と共に吹き上がった。
不気味に笑うルシファーが誰かを手招きすると、闇の中から小さな影が表れた。
『さぁ、本当の宴を始めようか。
なぁ……リコ』