先端から二センチで切れるということは、霞虹はクラフィティーの剣を覆い尽くし更に外周二センチほどを覆っていることになる。

しかし5センチ掠めても傷にならないということは、少なくとも先端からそれだけは猶予があることになる。

このことからシルクはある推測をたてるのだった。

「霞虹の能力は剣の丈を数センチ感覚で長くしたり短くしたりできるということなのか?」

謎を暴こうとするシルクの目付きを見ていたクラフィティーは、シルクに見えないように笑っていた。

この時シルクはまんまとクラフィティーの術中にはまってしまっていたのだ。


霞虹の能力は至極簡単。

刀身と腕を霞でただ単に覆うこと。これのみである。

様はただの目眩ましでしかないのだ。

シルクには刀身の丈が伸び縮みしている様に感じたのは、単純にクラフィティーが霞の中で攻撃の度に剣を握りかえ、柄の先を持ったり、刀身の近くを握ったりしていたからである。

またシルクに霞虹が触れた瞬間に僅かに魔力を強く練ることで、シルクに特殊な能力が発動するのではないか?という疑念を抱かせるように仕向けていたのであった。