「へっへっへ。ようやく追い詰めたぜウサギちゃんよ。」
殺傷能力の高い銃を突き付け、男は不気味な笑みを浮かべていた。
その先で声にならない声をあげながら、震えるスノー・ラビットの赤ちゃん。
「スノー・ラビットの毛は貴族に高く売れるからな、戦闘能力も低いし、ほんと良いカモだぜ。」
チャキッ。と音を立てながらストッパーが外され、男は躊躇なくトリガーに手をかける。
「あばよウサギちゃん。」
「――やめろ!!」
背後からの声に男は振り返える。
視界のはしに小石が向かってくるのを見て、男は身を畳んで回避した。
「イレガリティ・ハンター(違法狩人)のブリスベン・マークだな?お前を捕縛する。」
「オレ様をお前みたいな餓鬼が捕縛するだぁ?笑えねぇ冗談だなぁオイ!!」
突き付けられた銃。
ドン。
シルクはトリガーを引くのと同時に木の後ろへと隠れた。
「どうした?隠れてたんじゃ捕縛なんてできねぇぜ?」
ブリスベンは木に隠れたシルクを威嚇する様に、所構わずに銃を乱射してくる。
「素手で戦って勝てるわけもないか……よし。」
シルクはサモンの言葉をなぞる。
欲する物を鮮明にイメージし、そこに理論を加える。
それらを混ぜ合わせた上で、精霊の力を借りて確定する。
ピカッ。とシルクの隠れていた木が光ると、シルクの手には丈夫な鞭(むち)が握られていた。
「覚悟しろブリスベン!!」



