「くそっ」

シルクが怒りを地面にぶつける。

「おっと……憤っている場合では無いようだぞ」

何者かの気配を察知したサスケが縮地法でシルクの背を護るように立った。

シルクが振り返ると部屋の中央で蠢いていた闇が、ソフィアが現れた時のように吹き上がっている。

「おおおおおおおぉぉぉっ」

「ぬあぁぁぁぁぁっ」

「………………………………」

そして闇が人の形を現し、中から三人の影が現れた。

その姿は未だに真っ暗な闇に覆われている。

「…………………………ふっ!」

真ん中にいた影が何か刃のような物を地面に突き刺す。

そこから部屋中を飲み込むほどの闇が侵食する。

闇はざわざわと喚きたて、そしてゆうに200人を超える影が現れた。

「なんて数だよ…………」

シルクは愕然とした。

その数多の使い手は、立夏の大陸で捕まえた指名手配犯達とは隔絶された殺気を放っている。

いくら大陸王三人とはいえ、今は全員が大きな傷を負い魔力も底を尽きようとしている。

そんな状態では中央を陣取る先んじて現れた三人はおろか配下200人すら相手にできる状態ではなかった。

「くっ……どうすれば良いのだ」

じりじりと近づいてくる闇の配下達。

三人は段々と壁際へと追い込まれていく。

その時シルクには見えた。

相当な深手を追っていたワイズがその場から動くこともできずに闇に飲まれようとしていたのを。

「ワイズ!『光撃』!!」

光は数人の闇の配下を消し去ったが、途中で闇に飲まれる。

幾度も光を放ったがどんどんワイズの身体が視界から消えていく。

「くそっ、くそっ!


うぉぉぉぉおっ!!」

てを伸ばした先でワイズが見えなくなった。

シルクの全身の血の気が引いていく。

「なぁに?情けない顔ね。


蹴散らしなさい『破壊神の七夢』」

その瞬間、厳冬の城の天井も何もかもを吹き飛ばしながら神々しい光が打ち抜いた。