厳冬の城で繰り広げられた死闘に決着が着く。

それと同時にある者がシルクの故郷である廃炎に近づいていた。

サモンの家では依然として溢れ出すリコの狂気を抑えるための儀式が続いている。

「リコ。しっかりな。

君は闇になど落ちてはいけない」

サモンは全身に滝のような汗を滴らせながら詠唱を続けていく。

そんな様子を傍らで見守るフレア。

その時フレアは、自らが廃炎の周囲に張り巡らせた結界を何者かがくぐり抜けるのを感じた。

「フレア・・・どうした?」

サモンに感づかれないように表情を隠していたフレアだったが、サモンのそんp問いに言い逃れはできぬと真実のみを伝える。

「何者かが俺様の炎の結界を破ってこの場所に近づいている。
サモン様は引き続きこの少女の狂気を抑えていてください。こっちは俺様の生命に賭けても食い止めます」

サモンは無言で頷いた。

フレアは音も立てずにサモンの家から消える。

サモンは知っていた。

フレアが嘘をつかない事を。

つまりフレアですら生命を駆けて戦わねば食い止められぬほどの敵が近づいていることを、サモンは分かっていた。

「無事に戻れよ・・・フレア」