ワイズの魔力が膨れ上がり部屋中を漂っていた翡翠の風がわの手元に集束していく。

「シルク!一瞬で良い、この霞を払ってくれ」

乱回転する嵐がワイズの手中で暴れる場所を求めて荒れ狂う。

シルクももまた魔力を研ぎ澄ます。

「限界なんていつでも越えてきた、ワイズ王をサポートするんだ!

『光浄』!!」

シルクの光が周囲を目映く照らし、部屋中に漂う霞を晴らしていく。

この時ようやくサスケはシルクの光が魔力を祓う力であったことに気付く。

その驚異にサスケが飛び出そうとした瞬間。

「言ったろう隙だらけだよ『大緑の嵐舞』」

圧縮された翡翠の嵐がサスケの懐で解放される。

その力量たるやサスケの魔力の盾を粉々に砕きダメージを与えるほどのものであった。

嵐は対象を引きずり込みながら引き裂く。

「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉおっ!!

負けるか!拙者が負けてなるものかぁあっ!!」

嵐に身体を切り刻まれながらサスケは叫んでいた。

それはサスケが今までに持っていなかった命の危機によって生まれる、生きることへの醜いほどの執着の叫び。

聞き苦しいほどのこの根元の叫びにオーディンは愉快そうに笑い、立ち上がるのだった。


嵐は最後に全力量を吐き出し爆発した。

爆風で部屋の畳は全て弾け飛び、サスケ、ワイズ、シルクを遥か後方の壁際にまで吹き飛ばしていった。