聖霊の宴


「我が愛刀の空間?

いったい」

「貴様が立っていられれば直に分かる」

声のした辺りからサスケの気配が消えた。

まず間違いなく気配を隠しワイズへと近づいている。

ワイズは濃霧のような霞の中で目を閉じると視覚を絶った。

視覚を絶つことによって他の感覚が冴え渡る。

サスケの着物が擦れる音が、わずかに切っ先についた血の匂いがサスケの居場所を教えてくれる。

「……ここだ」

背後からサスケの気配を察知したワイズ。

そよ風のフルートに巻き付けた風の剣で切りつける。

「よい反応だ。だが、届かぬ」

「ーーなっ!?」

背後から確かにサスケの気配を感じていたのに、刀によって切りつけられたのは正面からだった。

「正面からの攻撃を背後からだと感じた?そんな、馬鹿な」

また、ゆらりとサスケの気配が消えていく。

ワイズはまた感覚を研ぎ澄ます。

遠くに聞こえた衣擦れの音。

ゆっくりと近付く殺気。

振り上げた刀が空を切り、ワイズはフルートを盾にする。

「残念だったな」

今度は正面からの攻撃だと確信しフルートを出したワイズだったが、背中を切りつけられる。

それでもサスケの気配はほんの一瞬だが、正面にとどまっていた。

ワイズは確かめるように風を放つが正面にサスケの姿はなく、魔力で産み出された霞は揺れることすらなかった。