刀身を覆い隠した霞が次第に辺りへと広がっていく。

それは徐々にサスケの腕を隠し、半身を、全身を覆い隠し。

尚も部屋のなかを広がっていく。

「静かすぎて不気味だな。

まさかこの部屋全てをあの霞で覆うつもりか?」

『対象に触れることで発動するタイプの罠かもしれない。

ここは、わざわざ相手の霞がここを覆うのを待ってあげる必要はないわ。ワイズ』

「ああ……そうだね、シルフィード」

ワイズは強い風を吹きならす。

風が霞を消し飛ばそうとするが霞は消えない。

「こちらからは干渉できないのか?つまり、あれは魔力によって産み出されたもの。いったいどんな能力なんだ……?」

ワイズは風を止める。

少しずつ少しずつ空間が霞で満ちていく。

それはゆっくりと確かにワイズの元にも広がり、そして空間全てを覆い尽くした。

霞の先から声が聞こえる。

「さぁ、我が愛刀の空間へようこそ」