ワイズは無言でグレイシアを見つめるシルクを見て笑った。

「動揺は微塵もなし。か……

頼もしい限りだよ立夏の大陸王」

そうシルクはすでに臨戦態勢に入っていたのだ。

実はシルクは近づいていた6人の気配も察知していた。

しかし、その6人に気を回すよりも目の前にいるグレイシアに集中しなければならない。とほぼ確信し、そう行動していた。

「――マリアさん!跳んで!!」

シルクの突然の叫びに、マリアがその場で跳ぶ。

すると、マリアが立っていた足元から鋭利な氷柱が逆さまに生えて地面をズタズタにしていった。

シルクより2秒遅れてワイズがグレイシアの攻撃に気付く。

ギフトであるそよ風のフルートを取り出し、風の刃で生えてきた氷柱を切り刻んだ。

マリアはワイズによって突端を切り取られた氷柱を、足場にして地面に着く。

「さすがにやるわね。

でも私にばかり気を取られていて良いの?」

そう不敵に笑って、グレイシアは3人の後ろを指差した。

「――なっ、いつのまに!?」

目の前に迫る6人の精霊使い。

ワイズがシルクとマリアに背を向けるようにして前に出た。