メゼシエルが通達した3ヶ月まで残り1週間を切った日。

シルクは早春の大陸のとある場所にいた。

「ミカエルいよいよだね」

涼しい風の吹くその場所からは雲さえも見渡せる。

『霊山での瞑想を経てシルクの魔力も確実に増しています。今ならばルシフェルとも、あるいは……』

シルクはゆっくりと目を開けて笑った。

「気休めなんて君らしくないよミカエル。

まだ僕の魔力が他の王に追い付いていないことくらい、自覚できているつもりだよ?」

敵との戦力の差を認めながらもシルクは落ち着いていた。

『……シルクは何故、私にオーパーツを渡せと問い詰めないのですか?』

シルクはゆっくりとミカエルを見つめる。

ミカエルは少しだけ悲しそうな表情をしていた。

「何か渡せない理由があるんでしょ?

その理由がなんであれ、君が僕に必要ないと思うのなら、それは僕にとっても必要ののないものと同じだよ」

笑顔は信頼を言葉よりも確かに伝えていた。

ミカエルはふと微笑む。

柔らかい風が山の頂上をさらりと撫でた。


「……やぁ、シルク久しぶり」

するとワイズがシルクの元にやってきた。