城に戻ったシルクが歓喜の声をあげた。

それはシルクが思ってもいなかった人物が出迎えてくれた為であった。

「おかえりなさい、シルク・スカーレット」

金髪の長い髪が風にさらりと揺れる。

その肩には水の精霊が乗っている。

「マリアさん!もう歩ける様になったんですね、良かった」


シルクは十数の階段を駆け上がる。

近づくとマリアの額にうっすらと汗が光っていた。

「……まだ痛むんですね?」

シルクはマリアのわきばらを見て眉をひそめる。

マリアはシルクの肩に優しく手を置く。

「新王様がなんて顔をしているの?一介の銀行員が怪我をしたぐらいでしょ?」

マリアは笑って肩をポンと叩いた。

シルクは力強く首を横に振る。