茶器に掛けていた手が震える。

カタカタ音をたてて揺れた。

「い、言っている意味が分かりません」

シルクの心の動揺が言葉まで不恰好に震わせる。

「もしリコがソフィア族の最後の末裔だとしたら、彼は?ソフィアはいったい」

サモンはゆっくりと茶をすすると、机に肘をたてて両手を組んだ。

「恐らくその少年はソフィア族と他の民族との混血であろう。故にあのルシフェルを従えるだけの魔力を持っていた。

しかし、ソフィア族のみの血を引く純血はリコ1人だけだ」

『……シルク』

ミカエルがシルクの肩を優しく叩く。

しかし、シルクに反応はなかった。

「リコは何であんな状態になっているんですか?」

小さな問いに、サモンはしばらく考えてから答えを出した。

「断定はできないが、リコがソフィア族であることと、アバンカールドが目覚めたことと関係があるのだろう」

シルクは首を傾げる。

それを見たフレアが言う。

「アバンカールドの呪いはソフィア族の怨念で出来ているからだろう」

「ソフィア族の怨念……?」