岩肌を駈け抜けシルクは深い森の中へと逃げ込んだ。
「はぁ、はぁ」
乱れてしまった息を整える為にゆっくりと歩く。
その隣にはソフィアと戦っているはずのクラフィティがいた。
「クラフィティ伯爵……何故ここに?」
クラフィティはシルクハットの影に沈む瞳でシルクを見つめる。
「かつての友が君の危険を知らせてくれた」
「かつての……友?」
クラフィティは木々の隙間から微かに見える空をあおぐ。
「私は彼と約束したのだ。君と同じ名を持った彼と、君を……スカーレットの血を守るとね」
そしてクラフィティは話し始める。
大陸王の苦悩とそれを支えた友の物語を。