シルクの魔力が尽きた瞬間。
タラリアの羽が輝きを失い、散った。
「……くそ、魔力が切れた。」
ふらつき地面に倒れるシルク。
ゲセニアは闇をわずかに纏った状態で佇んでいる。
「くくく……なるほどな。一蹴にして超速移動を可能にするほどの力量。それを打撃に回したがための、あの威力だったと言うわけだ。」
ゲセニアはゆっくりとシルクに近づく。
「頼みの綱である最後の魔力も尽きた様だな、今度こそ……ぐっ。」
途端に膝をついたゲセニア。
纏っていた闇が剥がれる様に消えていった。
シルクの決死の攻撃でゲセニアの魔力も尽きた様だ。
「……なんだと?この私の魔力が尽きただと!?そんなバカなことがあってたまるかぁ!」
ゲセニアは懐から手の平ほどのナイフを取り出した。
「……っ、はぁはぁ。」
ゲセニアがそのナイフを振り上げ、ゆっくりとシルクに近づいていく。
『シルク、逃げるのです。シルク!』
ミカエルの声にもシルクの身体は動こうとしない。
「ふふふ……これで私の勝ちだ!」
鈍く煌めくナイフが振り下ろされた。