「……チュンチュン。」

翌朝、シルクは目覚める。

「……昨日のことうっすらとしか思い出せないな。」

ぼやけた頭を醒まさせる為か、シルクは家を出た。

まだ朝靄のかかる静かな空間に1人。

「……聖霊の宴。いったい何なんだ……?」

シルクはゆっくりとポストへと歩き、中を覗き込む。

「……!!これは……」

その中の一枚を取り出した時、シルクの手が止まるのだった。

オレンジの鮮やかな封筒に光る金色の文字。

そして、燃え盛る火炎の中に觜と角を持ったゴリラの様な神獣"イフリート"の印。

「これは炎王……バーク・フレア様からの手紙。」

シルクの住む村落は夏の大陸、通称サマー・ガーデンでも最南端に位置している。

フレアの王城は大陸中央に位置し、中央から外れる毎に貧困した地域となる。

「炎王からの手紙がこんな地に届くなんて……間違いじゃないのか?」

シルクはゆっくりと封を切る。