ソフィアに大敗をきっしてから一月が経ち、シルクはある場所を目指していた。

『狂戦士の寝床』。

壮大に連なる連山の中央に位置する、サマー・グラウンド随一の巨山である。

「まさか一月もの間、向こうが待ってくれるとは思わなかったな。」

進む歩調に迷いはなく。

確かにシルクは戦士として成長を遂げていた。

身体には治り切らない傷跡も多々あり、壮絶な試練を乗り越えてきたのが分かる。

何よりも変わっていたのは表情である。

『シルク、私の試練をよく乗り越えました。今のあなたならどんな強大な敵とも戦えることでしょう。』

「うん、ミカエルがついてくれているしね。」

幼さが目立った頼りない顔はもうなく、強い眼差しで真っすぐに前だけを見つめていた。