ほのぐらい光がマリアを照らしだした時、シルクは自らの右脇腹に違和感を覚える。

マリアに同調したかの様に息を切らし、いつの間にかシルクは激痛の波に飲まれていた。

「くっ、あぁっ……」

わずかにマリアの血が止まり始める。

『シルク耐えるのです。これは相手と同じ痛みに絶えながらでなければ出来ない呪い。魔力が強靱であれば痛みは少なくなりますが、今のシルクではその効果は期待できません。』

「くっ、ぐぁっ……」

長い長い時間。

永遠にも思える激痛に耐えながらシルクはマリアを思っていた。

「マリアさんはこんな痛みを負いながら僕をかばってくれた。僕だってマリアさんを治す為ならこんな痛みくらい……」

徐々に徐々にマリアの傷口が塞がっていく。

ミカエルはそんなシルクの横顔を見ながらぼそりと呟いた。

「シルク。私はあなたの力となれて嬉しい。でも、だからこそ私の真の力はあなたに授けることはできない……」