フィニはその黒き血の鎌を構える。

「いくぞワイズ王!!」

勢いをつけて飛び出したフィニ。

一直線にワイズへと向かい、その凶刃を振り抜く。

「速いな……『風障壁』」

自力で回避は不可能と判断したワイズ。

シルフィードの力で目の前に風の防壁をはった。

「はぁぁぁぁぁぁあっ!!」

気合いでそれを難なく振り切ったフィニに目的の手応えは無かった。

フィニは辺りを見舞わす。

「残念、下だよ。」

真下から現れたワイズにフィニの反応が遅れる。

「シルフィード『烈風刃』」

フルートに風を纏わせ、剣を生み出す。

ワイズの刄がフィニの光の鎧を捕えた瞬間。

「……アスタロト『月食』」

風は光に呑み込まれてしまった。

「散れ『紅雨』」

思いがけぬ実態にワイズはわずかに集中が散漫となる。

そんな時、赤い雫が降り注ぎ、左肩に一滴それが当たってしまった。

「……くっ、がっ。ぐぁぁぁぁあっ!!」

焼ける様な痛みが肩にはしり、ワイズは声をあげた。

フィニの下の地面を見ると、赤い雫に触れた場所に穴が開いていた。

石すらをも溶かすほどの溶解液、ワイズの左肩もまたその雫でえぐり取られていた。