想いだけが膨らんでいく。
想いだけが募っていく。

だけど、想いを伝えられるはずもない。


それでも、幸信のことで悩んでいる時間が不思議とそんなに憂鬱じゃない。


私…恋してる。


だから、何でも頑張れる気がする。



「夏希、さては恋してんね?」



──ボキッ…


花菜の鋭い勘に、勢いあまってシャーペンのシンを折ってしまった。


なんて鋭い勘……



「マジで?どんな人?」



恋の話しに食いつかない麻子じゃないのは当たり前で……


私は実に困った状況に陥った。


幸信のことを聞きたい二人が私の前にいて、幸信本人が私の隣にいるという状況にあった。


幸信がいるから二人に言えない…


どうすれば?