愛してるの言葉だけで。




ちょっと、冗談じゃない!!


──ドンドンドンドン…


「ちょっと!開けてよ!」


──シーン…



いくら扉を叩いても開く気配はなかった。


血の気がサーッとひいていくのがわかった。


どうしよ…

合唱コンクールが始まっちゃう。


みんなに迷惑かけちゃう…!



「誰か!誰か来て!!誰か…」



わかってる。



「誰か──」



こんなに必死になって叫んでも、誰にも届かないってこと。


心の奥底にある、
心の叫びと同じみたいに───



「夏希、落ち着け。俺がなんとかしてやるから」


「なんとかって?もう私たちの出番始まっちゃうよ!!」


「いいから任せとけって」



暗くてよく見えないけど、幸信はそう言って笑ってたような気がする。


私が黙ってうなずくと幸信はスーッと姿を消した。


今は、幸信を信じるしか……


幸信…
私は信じてる。



刻々と時間だけが過ぎて行く。

時間が過ぎていくほど、私はどんどん焦っていく。