「行ってきます」
今日は合唱コンクール当日。
もちろん、目指すは優勝なわけで…
他のクラスなんかに負けないもんね!
めちゃくちゃ練習頑張ったもん。
私もピアノの練習頑張ったし…
聖也くんも指揮の練習頑張ってた。
「優勝できるといいな!」
「当たり前でしょ。あ、幸信も歌ってよ」
私は笑いながら茶化すように言った。
周りには誰もいない。
だから幸信と会話できる。
「俺が歌っても聞こえるのお前か霊感あるやつだけ」
「私が聞ければいいじゃん」
幸信の歌声が聞けるのは私だけ…
なんか特別みたいで嬉しい。
幸信はフッと笑って言ってくれた。
「まぁ、頑張れ」
「言われなくても頑張りますよーだ」
頑張るよ…
ねぇ、幸信?
─私は、幸せだよ。



