「夏希、おやすみ…」
寝る時に私の頭を撫でながらそう言ってくれるこの時間が好き。
「おやすみなさい」
不思議なくらいにぐっすり眠れるの。
私は布団をギュッと握り幸せをかみしめる。
でも、時々…
時々なんだけどね…凄く不安になるの。
私の頭を撫でてくれる幸信の温かい手がなくなりそうで…
幸信がいなくなりそうで…
凄く繊細に見えて、
凄く傷つきやすそうで
凄く消えて無くなりそうなの。
時々、スーッと消える時に幸信がこのまま私の前に二度と現れないような、そんな不安が私の心を襲うの。
消えないで…
お願い。
どうか、消えないで。
私にもっと幸せをちょうだい。
もっと優しく包み込んで─…
私のちっぽけな願いを叶えて?



