愛してるの言葉だけで。




俺は傷ついた拳を優人に向けた。



「優斗…サンキューな。お前のおかげで目が覚めた…俺は、洋子のために生きる」


「…うん!」



そう痛んだ拳に誓った春休み。


俺は洋子の分も生きる。


気合いたっぷりで向かった高校に、まさか洋子にそっくりなやつがいるとは思わなかった。



だから、俺は授業をサボりがちになった。


横を見れば、そこに洋子がいるんだから…


過去の記憶がフラッシュバックするんだ。


だから、俺は洋子にそっくりな坂井を自分なりに避けていた。