私の気持ちがすっかり落ち着いた頃、私と新井くんは屋上のフェンスに寄りかかって気まずい空気にたえていた。


そんな空気を破ったのは新井くんだった。



「さっきは、悪かった。お前は…その……似てんだよ」


「…誰に?」


「元カノに…」



新井くんの…元カノ?


嫌な緊張感が私を支配していた。



「顔だけじゃなくて、弱気な性格のくせに人を放っておけないところとか…涙脆いところとか、仕草も全部似てるんだよ」



新井くんは寂しそうな瞳で空を見つめながら言った。


それで何となくわかった。


その新井くんの元カノは、もうこの世にいないことが……


そして、新井くんはまだその元カノのことを想っている。