愛してるの言葉だけで。




不良だからとか、目付きが悪いとか、そんな理由で新井くんを嫌うのは間違っていると思う。



確かに怖いけど、それは本当の新井くんじゃないかもしれない。


入学式のクラス表での新井くんが本当の新井くんじゃないのかな……



「夏希は新井ってやつのこと気にし過ぎ」


「気になるんだもん」



私は近くに誰もいないのを確認して、そう幸信に言った。


「はぁー」と幸信はため息を吐いたあとに



「じゃあ、新井のとこ行くか?」



と、両手を頭の後ろに当ててめんどくさそうにして言った。


本当はめんどくさくないくせに。

幸信が優しいってことは十分に知ってる。



「うん、行く」



私は自分自身の行動力に驚いた。


自身でも分からないけど、新井くんは放っておけないんだ。


一人ぼっちは予想以上に辛いんだ。


クラスに馴染めないって予想以上に辛いんだよね。