愛してるの言葉だけで。




新井くんが練習に参加することなく、合唱コンクールの学級練習が本格的に始まった。


やっぱり、新井くんは出ないのか……


こんな微妙な状況で、合唱コンクールをする意味あるのかな?



「新井くん、本当に出ない気なのかな…」



聖也くんと二人きりで指揮と伴奏の練習をしている時に、私はつい本音を出してしまった。


聖也くんは「う~ん…」と悩んだあとにこう続けた。



「やる気のないやつを無理矢理やらせても邪魔になるだけだし……それに、あいつは俺達と関わりたくないんだよ」



え、関わりたくないの?

どうして?



「俺達みたいな連中より不良達とつるんでる方が楽しんだよ、あいつは…」



本当に、そんなもんなのかな?


私は、もっと違う理由があるんじゃないかと何となく感じているんだけど。


確信はないけど…


私達の雰囲気が新井くんをクラス輪に近づけないようにしているのではないか、と私は思う。



新井くんを見るみんなの眼差しは、冷たくて寂しくて酷い。