「どうしたの夏希ちゃん。そっちに何かあんの?」
「う、ううん!何もないよ」
びっくりしたー…
聖也くんの鋭さじゃなくて、私が見た幸信があまりに綺麗な顔をしていたから。
目を細めて、まるで幼い我が子を見守るような愛しい目……
思わず見とれてしまいそうになったけど、聖也くんのお陰でそれは防げた。
「合唱コン?俺は出ねぇよ」
感動と疑問の気持ちが混ざった変な気持ちを落ち着かせようとしていた矢先に聞こえた言葉。
誰が言ったのか……、答えたは明白だった。
「新井くんも出て下さい。みんなの仲を深めるいい機会なんです」
委員長の必死の説得、それに聞く耳を持たない新井くんに腹が立った。
新井くんは委員長をうざがるように教室から出て行った。
私の中の新井くんへの印象が変わってきていた。
入学式のクラス表の件は言いたいこと言えてカッコいいなって思ってたけど、今の新井くんは全然カッコよくない。



