隣人の狂気

腹に包丁が刺さったままのユウイチは激痛に顔をしかめながらも苦笑してみせる。

「いやいやイクエちゃんにはかなわないよ。

さっきの話じゃあ十四年前の俺の事件の時、帰る俺の顔は相当ヒドかったらしいけどイクエちゃんはそんな事なかったはずだ」

驚きながらうなずくイクエ。

「なんで分かるの?確かにその通りよ。

血をきれいにすすいだ後水気をしっかり拭き取ってから着替えた。

その間結構時間がかかったけどワタシ全然慌てなかったわ。

感覚的にはお風呂あがりと大差ないぐらいに」

「だと思ったよ。まるで見てきたみたいに想像できる」