「こんな時間に警察に何か急ぎの用事?」

何の事だか本当に分からなかったワタシはにこやかに聞いた。

叔父さんは身じろぎもせず表情もかえず

「自転車のブレーキワイヤーの話だ。最初はただの違和感だった。だが俺の見たもの、知っている事を総合するとそういう事になる」

今度はワタシの動きが止まる番だった。

叔父さんは僅かにこちらに目を向けながら続けた。

「やっぱり心当たりあるみたいだな。俺はずっと落ち込んでたんじゃない、悩んでたんだ」

「警察に行ったらワタシはどうなるの?」

「俺は専門家じゃないから分からない。でも罪があるなら明らかにすべきだ。お前のおかげでそう分かった」

お互いに顔を上げてずいぶん久しぶりに目を合わせると、叔父さんの目には決意が見てとれた。