舞は怯え、その場に倒れ込み動けないでいる。

 そして、デュラハンが斧を構えた時。

 ドガガーーーーーン………

 仁の投げた木箱が、デュラハンの上に落ちた。

 そして、デュラハンは空気の様に掻き消えた。

 仁は、舞に声を掛けた。

 「大丈夫かーーーーっ?」
 「大丈夫よ、ありがとう」

 舞は、そう言って何処かへ掛けて行った。

 その頃、デュラハンは別の獲物を狙っていた。

 ゆっくりと滑る様に近付き、一撃を加えた。

 「ギヤーーーーーーッ」

 と言う悲鳴と共に、背中から鮮血が飛び散る。

 そして、ゴロゴロとのたうちまわり、泣き叫ぶ。

 それは、しおりだった。

 デュラハンは、しおりの腕をロープで縛り上げ馬に繋いだ。

 青白い顔が2つ、白目を向いてしおりを見詰める中、それは始まろうとしていた。