「優子助けて!」

 夜8時、親友の高崎美紀から掛かってきた電話は、それだけ告げると切れてしまった。

 木内優子はその時、お気に入りのお笑い番組を見ながら部屋でウトウトしていた。

 しかしあまりに突然の出来事に、寝ぼけていた頭が覚醒する。

 急いでかけ直すが繋がらない。

「お掛けになった電話は、現在電波の……」

 何度掛けても無情な音声だけが紡がれる。

「どうしよう?」

 優子は、泣き出しそうになりながらどうしようか考える。

 美紀の家に電話して連絡がつかないなら警察に電話した方がいい。

 そういう結論に落ち着いたが、あまりの自分の無力さにまた泣きそうになる。

 だが泣いてる場合じゃない。

 そう思い直すと、改めて行動を開始する。

 美紀の家の電話番号は、携帯に登録してないので調べなければ。

 優子は、そう思って中学の卒業名簿を探す。

 家の番号を見つけて掛けようと思った時、携帯の着信ランプが点灯した。