だが、どんなに心中が乱れても歳三の視線は外すことなく馨を見続けている。 しかし、その二人の視線はなかなか重ならない。 それどころか何一つ言葉を発しない馨に痺れを切らした歳三が一歩足を踏み出すと、馨は我に返ったように顔を上げて歳三と向き合う形になった。 「…っ歳さんには、関係ないと言いました!!心配なんてしくださらなくていいです!!」 まるで泣くようにして叫ぶ馨。 その視線がこの日初めて歳三の顔を直視する。