｢おはようございます。｣


｢おはよう。｣





毎朝、“おはよう”と朝の挨拶をロビーで交わす。





｢おはよう、新名くん。｣


｢おはようございます、三井さん。｣





ポンッと肩を叩かれ、振り向くと秘書課の三井さんがいた。





｢お見合いどうだった?というより早く終わったみたいだね。｣


｢実は、逃げられたんですよね。｣

｢逃げられた……だから早かったんだ。｣





僕のお見合い相手、天宮かれんさんの姉の旦那さんが三井さんで今回の話は筒抜けだった。





｢社長にはなんて報告するの?｣


｢それなんですよ……困りましたよ。｣


｢なんとかなるんじゃない?｣





困った……三井さんにとっちゃ他人事。





的確なアドバイスなんて期待出来ない。





それからはお互い口は閉じたまま、自分の部署に向かった。





｢おはようございます、課長。｣


｢おはよう。｣


｢社長から伝言がありました。出社後社長室にとの事です。｣


｢わかった、ありがとう。｣





ビジネスバックをデスクに置いて社長室に向かう。