移動は自家用ジェットで、別荘は世界中にあり、その数25個。


なんかの雑誌にそんなこと書いてあったかも。


もう、パニック通り越して頭の中真っ白です。


「大丈夫、恋歌ちゃん?」


大丈夫なわけないでしょうが……。


合コンで会って、如月って名前聞いたとき、すぐに疑ってかかるべきだった。


いや、別に如月さんが如月財閥の息子だからなんだってことじゃないけど、最初に知っておけばこんなに驚くこともなかったのに。


「とにかく、明後日、10時にホテル如月で」


如月さんの呼びかけに唖然としすぎて答えない私に、ちょっと笑いながら如月さんはそう伝えて電話を切った。


「10時…ホテル如月…」


ホテル如月も、私たちみたいな貧乏学生が行けるようなホテルじゃない。


とういか、一生行けないかもってくらい高級なホテル。


なんか、感激だな。


ちょっとだけ、早苗に感謝。


遅ればせながら顔をニヤつかせる。


大学生にもなって、久しぶりに部屋の中を駆け回った……。