携帯電話をぽいっとテーブルに投げて、また首筋に舌を這わせながら吸い付かれる。



「ちょ…っ伊織!」

「あ?」

「あ?じゃない!ばれたらどうすんのよ…」


もし、そんな事にでもなったらもう伊織とは一緒にはいられなくなる。
そう考えただけで背筋が冷たくなって眉を寄せた。

――…依存、しすぎかな…。


それでも、もう私は伊織から離れられない。



「んな事…今は良いだろ。」

「よくない…っ」

「お前は俺だけ見てれば良いんだよ。」


そこからは会話にならなかった。

身体中に感じる熱に何も考えられなくされてしまうのはいつもいつも私の方だ。


リビングで、しかも狭いソファーでこれ以上ない位に身体を密着させて。
初冬の肌寒いはずなのに、今は汗ばむような熱気が私の身体を包み込んでくれる。

ぼやけた視界の中で、これ以上ないくらい優しく笑ってくれる伊織がいる。



「愛してる。」


そう何度も囁いてくれる言葉に私も愛してるって返したくても、円香さんの事や専務の事が頭を過ぎって言葉にはできなかった。