私は伺うように拓海さんを見た。
イケナイ関係が周りにばれてまずいのは私よりも伊織だ。
「………一緒にいるからそうだとは思ったが…」
「お前、わかってんだろ。傍から無理なんだよ。」
「だろうな。」
どうして二人は笑ってるんだろう。
どうして拓海さんは何も言わないんだろう。
私と伊織の事を理解して、それでも責めも罵りもない。
「どうして…?
どうして何も言わないの?」
「言ってほしいのか?
確かに、あまり是とは言える事ではないが……仕方がない事なんだろう?」
絶対に認めてなんかもらえないと思っていた。
誰にも話せない関係なんだと思っていたのに…。
伊織に一番近い人、一番の親友が反対はしなかった。
それが何より嬉しかったんだ。
「こら、泣き顔…俺以外に見せんじゃねーよ。」
「う…うっさい…っ」
「あー…お前可愛いなぁ。」
泣きたいわけじゃない。
それでも勝手に流れ落ちる涙を苦笑いしながら拭ってくれる。
暖かい手にまた涙が流れ落ちた。
「これから大変だな…メグは。」
そんな拓海さんの声がはっきりと耳に届いて、泣きながら笑ってしまった。