「萌ー!遅れるわよ?」

「はあーい…」


いつもと変わらない朝、桜が咲いてる春の朝。

真新しいクリーム色のレディーススーツに着替えてビジネスバッグを持つ。



「………………三年、かぁ…」


長いようで短い三年は私の心をリスタートさせるには短すぎる。

一生の恋だと思っていた。

ずっとずっと一緒にいられるんだって信じてた。


あの時、まだ19だった私はなにもかもがきっと子供だった。



「…よし。」


新しく始めるんだ。

最初から…。

まだ新しい恋なんてできるかわからないけど、それでも始めなきゃいけないんだ。




――――…伊織……


貴方に会ったら笑えるかな?

きっともう会うことなんてないけど、それでも…


会えるかも、なんて馬鹿なことを考えてる。



日常が始まる…。