今みたいに、何でもない事みたいに言葉をくれる。

今みたいに、ただ手を繋いでただ前に進んでくれる。

それがどんなに救いになるかなんてきっとわかっていないんだとは思うけど…。



「悩んで苦しんで前に進めば…明るい未来もあんだろ。」

「…そんなもの?」

「さぁ、知らねぇけど。でも悩んで苦しまねぇと人生面白くねぇだろ?」


暖かい陽射しの下で、カッコイイ言葉を吐く伊織から思わず目を逸らしてしまう。

陽射しだけじゃなくて…なんとなくコイツまで眩しく見えた。



だから…



「ジジくさ…」


また思ってもいないような事を言ってしまうんだ。



「ひでーなぁ。」

「人生悟ったじいちゃんみたいなんだもん。」


こんな他愛もない戯れが何よりの幸せなのかもしれない。

外で当たり前のように手を繋いで、恋人のように戯れる。

それが続かない事なんて百も承知でも、それでも私は永遠に続いてほしいと願ってしまう愚か者なんだ。