ドーン!ドーン!昨日の雨が嘘のように晴れわたり、花火が打ち上がっています。
 ゴール地点の泉まわりでは屋台の準備が始まり忙しくしています。
 スタート地点の大きな木の下では、みんな今か今かとワクワクしながら選手を応援しています。
 いよいよスタートです。
 パン!という音とともに一番に飛び出したのはモンタ、続いてラビ、そしてプーマン。
 道ばたの声援に応えるようにみんな一生懸命です。

 前に川が見えてきました。
 つり橋に一番乗りしたモンタは橋のゆれに驚いて、真ん中で立ち止まってしまいました。
 おかまいなしのラビがゆれる橋に元気よく飛び乗ってモンタにせまろうとした、その時です!
 さらに大きくゆれた橋の綱がプツリと切れて、モンタとラビが川に落ちてしまいました。
 大変です!みるみる二人が流されていきます。

 ドッポーン!大きな水しぶきをあげて飛び込んだのはプーマンです。
 川のいきおいに流されそうになりながらも、なんとかモンタとラビに追いつき、二人を大きな両肩に乗せて必死に泳ぎます。
 やっとの思いで川岸にたどり着いたプーマンは大の字に倒れて息を切らせています。
 勝ちにこだわるラビは二人をおいてゴールを目指して行ってしまいました。
 「おいらは力を使いきっちゃったみたいだ、モンタも先に行ってくれないか」
 「プーマンをおいて行けるわけないだろ」
 「モンタは走るのが好きなんだろ、おいらのぶんまで頑張ってくれないか」
 少し考えてからモンタはコクリとうなずき、再び走り出したのです。

 猛スピードでモンタは必死にラビを追いかけます。ゴールと大観衆が見えてきました。
 大勢の声援がとびかうなか、「お兄ちゃん負けないで!」
 という妹の声にスピードを上げようと力をいれたラビがすべって転んでしまいました。
 あきらめずに立ち上がるラビをぬいてゴールテープを切ったのはモンタです。