『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第96話

 秋風が吹く帰り道、ゆっくりと歩く昭太郎の横に少し揺れながら歩く川島が現れた。

「移植リストに載ったんだって」と肩を叩く川島。

「はい、おかげさまで」
 前を向きながら答える昭太郎。

「まぁ、あんまり気にしないでゆっくり待ったほうがいいぞ」

 2人は歩きながら話し続ける。

「そんなこと言ったって、期待しちゃいますよ」

「もちろん期待するのはいいんだけど、疲れるだろ」

「まぁ、少し・・」

「毎日を健康に過ごすこと、その繰り返し。ケガしたり、熱があったりしたら移植はナシだからな」

「それはわかってますけど・・・」

「毎日食べること、寝ること、それだけ。そうしていればいつかきっとポケベルが鳴るさ」
 千鳥足で大袈裟なガッツポーズをかます川島。

「・・・・・そうですね、酔ってます?」

「少しな」

「彼女、上松さんは川島さんの気持ち知ってるんですか?」

「・・・知らないよ、日本に帰ったら言うさ、日本だったら彼女の逃げ場もいっぱいあるだろうし」

「気持ちは変わらないんですか?」

「そうだな、やっと開放されるって気持ちでいっぱいだよ」

「・・・・・」

「どうした?」

 一歩後ろで立ち止まる昭太郎。

振り返る川島。