『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第95話

 ポケベルを持ってからの日々は今までの生活とは緊張感が違う。

いつ鳴るかいつ鳴るかと期待感は高まるし、ポケベル電池の残量が気になったりしながら移植手術がリアルに感じられる。

リアルに感じる分だけ1日が長かった。

 鳴らないポケベルを何度も見続けた1週間。

1週間がこんなにも長いということを知ったその日。

上松の送別会が近くのレストランで行われた。

 来た日から初めての集まりだった。

あの日、川島が言っていた「普段は挨拶をするぐらいだよ」というのは本当だった。


 ベトナム人が経営するベトナム料理店。

オーストラリアでなぜ・・・。
アジアンテイストな店内、籐の椅子に丸い木製のテーブル。

店内には観葉植物がところ狭しと置かれていた。

 新人の磯野夫婦の歓迎会も同時に行われた。

まぁ社交辞令のような挨拶と、みなさんの近況報告、といっても病状報告・・・。

しかし、上松は元気だった。1ヶ月前に比べたら別人のように元気で本当に嬉しそうに見える。

「やっぱり、帰るときには元気になるんだ・・・」そう呟く昭太郎は上松の希望満ちあふれる挨拶に拍手を贈っていた。