第73話
病気を押さえる薬もない状況で入院し続けても何も変わらないということで退院が認められた。
連続入院記録は232日で終わった・・・。誕生日は病院で過ごした。
そして、病院食にもクリスマスケーキが出ることを知った寒い冬だった。
久しぶりに帰る山梨の実家。
1度も帰らずに払い続けていた東京のアパートは解約した。
しかし、体調はしょっちゅう崩れた。
その度に体力回復まで点滴をうちに山王医大に入院するという、まさしく入退院の繰り返しを続けていた。
昭太郎は退院してから始めたことが2つあった。
1つはメールマガジンの発行。
これは元気な自分を仲間達が登場する物語の連載だった。現実逃避がしたかったわけでなく、仲間達と何かをやってる気分を味わいたかったのだ、それがフィクションであっても、みんなと同じ世界を生きている気がしたのだ。
2つ目は一眼レフカメラで写真を始めた。
いい写真が撮りたくなった。
これは何かを残したいという前向きな諦めだったかもしれない・・・。
そのメールマガジンは「夏色物語」と題されて、一歩も外で歩くことができなかった夏を取り戻すように初夏から始まっていた。
元気な昭太郎と仲間達の協力で1つのモノが完成していくという単純なストーリーだったが、入院しても週に5枚のペースは崩すことなくコンスタントに毎週配信されていた。
★
病気を押さえる薬もない状況で入院し続けても何も変わらないということで退院が認められた。
連続入院記録は232日で終わった・・・。誕生日は病院で過ごした。
そして、病院食にもクリスマスケーキが出ることを知った寒い冬だった。
久しぶりに帰る山梨の実家。
1度も帰らずに払い続けていた東京のアパートは解約した。
しかし、体調はしょっちゅう崩れた。
その度に体力回復まで点滴をうちに山王医大に入院するという、まさしく入退院の繰り返しを続けていた。
昭太郎は退院してから始めたことが2つあった。
1つはメールマガジンの発行。
これは元気な自分を仲間達が登場する物語の連載だった。現実逃避がしたかったわけでなく、仲間達と何かをやってる気分を味わいたかったのだ、それがフィクションであっても、みんなと同じ世界を生きている気がしたのだ。
2つ目は一眼レフカメラで写真を始めた。
いい写真が撮りたくなった。
これは何かを残したいという前向きな諦めだったかもしれない・・・。
そのメールマガジンは「夏色物語」と題されて、一歩も外で歩くことができなかった夏を取り戻すように初夏から始まっていた。
元気な昭太郎と仲間達の協力で1つのモノが完成していくという単純なストーリーだったが、入院しても週に5枚のペースは崩すことなくコンスタントに毎週配信されていた。
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