『クルマとタバコとカンコーヒーと…』【リアル物語ケータイ小説版】

第70話

 教会のチャペル。

扉が開かれ、逆光の中に現れる花嫁、麻由美。

 その隣には信彦。2人で歩んでくるバージンロード。

 信彦の両親が右の先頭に並んでいる。

 そして、左の先頭に立つのは麻由美の母親、ただひとり。

 祝福の拍手が2人に浴びせられる。

 緊張した面持ちの新郎新婦が祭壇に向かう。





椅子に投げ出された礼服の横で高熱にうなされる昭太郎。

枕の横に転がっている体温計は39.5℃を示している。





高砂に並ぶ新郎新婦。

披露宴会場では友人の歌声が響き渡る。

 友人の一人が新郎を呼び出し、マイク握らせ、真ん中に引っ張る。

 照れながら歌い始める新郎に会場は拍手を贈る。

 賑やかな曲が終わった。

そのマイクでそのまま話し出す新郎。
「今日は僕たちのためにお集まり頂きありがとうございます。僕たちは今日から2人で新しい人生を歩み始めます。ここにいる方々、そして、麻由美を今まで支えてきてくれた方に宣言します。」

 マイクを置いて、大声で告げる新郎、信彦。
 肉声の響きに静まり返る会場。
「僕は麻由美を一生大切にします。そして幸せにしてみせます!」